The Decca Sound を聴く その12 チョン・キョンファが弾くヴァイオリン協奏曲
12枚目のCDです。
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調/ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番/同:スコットランド幻想曲
演奏: 指揮・・・シャルル・デュトワ、モントリオール交響楽団(メンデルスゾーン)、ヴァイオリン・・・チョン・キョンファ、指揮・・・ルドルフ・ケンペ、フィルハーモニア管弦楽団(ブルッフ)
録音: 1981年7月、聖ユスターシュ教会、モントリオール(メンデルスゾーン)、1972年5月、キングズウェイホール、ロンドン(ブルッフ)
チョン・キョンファがDeccaにデビューしたのは1970年6月録音のチャイコフスキーとシベリウスの協奏曲でした。オケはプレヴィン指揮のロンドン交響楽団で、当時彼女は22歳。このCDの後半のブルッフはデビュー2枚目となる録音です。メンデルスゾーンの協奏曲収められているのはデュトワとの録音です。チョン・キョンファのディスクから1枚、というときに何を選ぶかですが、私はラロのスペイン交響曲か、プロコフィエフの2つの協奏曲あたりかと思いましたが、違いましたね。
Deccaが考えたチョン・キョンファの音色はジョシュア・ベルの録音などとはだいぶコンセプトが違っているように思えます。ひたすら美しい音に仕上げるというのではなく、弓と弦がぶつかる生々しい音を敢えて積極的に取り込んで、緊張感のある強靭で熱い気迫を感じさせる彼女のヴァイオリンの音質の特色を際立たせようという考え方が基本になっているように思えます。
聖ユスターシュ教会でのデュトワとモントリオール響の響きは、とげとげしいところがなく、残響とよく溶け合ったマイルドな音づくりになっていて、それとは対照的な硬質な音色のヴァイオリン・ソロが中央前面に位置する、という録音になっています。彼女のテクニックは勿論万全で申し分なく、それにメンデルスゾーンの協奏曲に内包されている、いわゆる「泣き」の感情が乗っかってきて聴く方に押し寄せてきます。この魔力ともいえる彼女の独特な魅力がこの演奏の特徴だと思います。
ブルッフの協奏曲は他のロマン派のヴァイオリン協奏曲の名曲に比べると平易で温和な部類に入る曲ですが、この演奏は気迫に満ちたスリリングなものになっています。第3楽章なんかでは、一音たりともおろそかにするまいといわんばかりの叩きつけるような重音の奏法を畳み掛けながら、決して前向きのテンポを緩めることなくぐいぐい突き進んでいく演奏は大変見事です。チョン・キョンファはその後DeccaからEMに移籍して、そこでも数々の名演奏を残していますが、この20代の瑞々しい演奏は色褪せることがない貴重な記録であると思います。
紙ジャケのデザインはこれ メンデルスゾーンのオリジナルのカップリングはチャイコ
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調/ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番/同:スコットランド幻想曲
演奏: 指揮・・・シャルル・デュトワ、モントリオール交響楽団(メンデルスゾーン)、ヴァイオリン・・・チョン・キョンファ、指揮・・・ルドルフ・ケンペ、フィルハーモニア管弦楽団(ブルッフ)
録音: 1981年7月、聖ユスターシュ教会、モントリオール(メンデルスゾーン)、1972年5月、キングズウェイホール、ロンドン(ブルッフ)
| 1 | メンデルスゾーン | ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64 | 第1楽章 アレグロ・モルト・アパッショナート |
| 2 | メンデルスゾーン | ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64 | 第2楽章 アンダンテ |
| 3 | メンデルスゾーン | ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64 | 第3楽章 アレグロ・ノン・トロッポ - アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ |
| 4 | ブルッフ | ヴァイオリン協奏曲第1番 ト長調 Op.26 | 第1楽章 前奏曲 アレグロ・モデラート |
| 5 | ブルッフ | ヴァイオリン協奏曲第1番 ト長調 Op.26 | 第2楽章 アダージョ |
| 6 | ブルッフ | ヴァイオリン協奏曲第1番 ト長調 Op.26 | 第3楽章 終曲 アレグロ・エネルジーコ |
| 7 | ブルッフ | スコットランド幻想曲 変ホ長調 Op.46 | 序章 グラーヴェ - 第1楽章 アダージョ・カンタービレ |
| 8 | ブルッフ | スコットランド幻想曲 変ホ長調 Op.46 | 第2楽章 アレグロ - アダージョ |
| 9 | ブルッフ | スコットランド幻想曲 変ホ長調 Op.46 | 第3楽章 アダージョ - アンダンテ・ソステヌート |
| 10 | ブルッフ | スコットランド幻想曲 変ホ長調 Op.46 | 第4楽章 フィナーレ アレグロ・グゥエリエロ |
チョン・キョンファがDeccaにデビューしたのは1970年6月録音のチャイコフスキーとシベリウスの協奏曲でした。オケはプレヴィン指揮のロンドン交響楽団で、当時彼女は22歳。このCDの後半のブルッフはデビュー2枚目となる録音です。メンデルスゾーンの協奏曲収められているのはデュトワとの録音です。チョン・キョンファのディスクから1枚、というときに何を選ぶかですが、私はラロのスペイン交響曲か、プロコフィエフの2つの協奏曲あたりかと思いましたが、違いましたね。
Deccaが考えたチョン・キョンファの音色はジョシュア・ベルの録音などとはだいぶコンセプトが違っているように思えます。ひたすら美しい音に仕上げるというのではなく、弓と弦がぶつかる生々しい音を敢えて積極的に取り込んで、緊張感のある強靭で熱い気迫を感じさせる彼女のヴァイオリンの音質の特色を際立たせようという考え方が基本になっているように思えます。
聖ユスターシュ教会でのデュトワとモントリオール響の響きは、とげとげしいところがなく、残響とよく溶け合ったマイルドな音づくりになっていて、それとは対照的な硬質な音色のヴァイオリン・ソロが中央前面に位置する、という録音になっています。彼女のテクニックは勿論万全で申し分なく、それにメンデルスゾーンの協奏曲に内包されている、いわゆる「泣き」の感情が乗っかってきて聴く方に押し寄せてきます。この魔力ともいえる彼女の独特な魅力がこの演奏の特徴だと思います。
ブルッフの協奏曲は他のロマン派のヴァイオリン協奏曲の名曲に比べると平易で温和な部類に入る曲ですが、この演奏は気迫に満ちたスリリングなものになっています。第3楽章なんかでは、一音たりともおろそかにするまいといわんばかりの叩きつけるような重音の奏法を畳み掛けながら、決して前向きのテンポを緩めることなくぐいぐい突き進んでいく演奏は大変見事です。チョン・キョンファはその後DeccaからEMに移籍して、そこでも数々の名演奏を残していますが、この20代の瑞々しい演奏は色褪せることがない貴重な記録であると思います。
紙ジャケのデザインはこれ メンデルスゾーンのオリジナルのカップリングはチャイコ

