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ダニエル・バレンボイム 50周年記念コンサート(2000)

バレンボイムのバイタリティにはいつも驚愕と畏敬の年を感じます。デビューから現在まで、ピアニストと指揮者の両方において世界の第一線で活躍している音楽家は他にいないのではないでしょうか。

 音楽活動50周年を記念して、2000年8月19日にブエノスアイレスで行われたリサイタルはDVDになっています。全部で14曲あるのですが、モーツアルト(K.330)、ベートーヴェン(熱情)のほか、アルベニス、スカルラッティ、ヒナステラ、シューベルト、ショパンなどなど、と続きます。多忙な指揮活動の中でどうやってこのような広大なレパートリーを維持しつづけられるのか、不思議にさえ感じます。

 器楽奏者で指揮をする演奏家は他にもたくさんいます。ただし、指揮活動が本業になっていくにしたがって、自らが演奏する機会がどんどん減っていくのが普通です。オケのコンサートで時々モーツァルトの協奏曲を引き振りしたりすることはあるのですが、まったくのソロ活動と指揮者を両立させつづけていたケースは本当に稀です。代表格がバレンボイムで、次がロストポーヴィチくらいでしょうか。

 バレンボイムは最近になって、何度目になるのでしょうか、またベートーヴェンのピアノソナタの全曲演奏会を開いたりと、勢いを緩める感じがありません。片や指揮者としては、ワーグナーの重厚長大なオペラを精力的に振ったりしているわけですからまったく頭が下がります。

 そんな多彩なバレンボイムですので、面白いCDの聴き比べができます。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。ピアノ独奏と指揮を担当したものがそれぞれあって、さらに弾き振りをしたものまであります。

50周年記念コンサート
 

ピアニストとしての「皇帝」 指揮者としての「皇帝」  弾き振りの「皇帝」
   
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

4人のヴァイオリニストの競演をBS-hiで観た

 昨日放映されました。4人とは加藤知子さん、堀米ゆず子さん、戸田弥生さん、川田知子さんです。一人ずつでも十分リサイタルになるのに、この4人で一つの演奏会をやるというのは、誠に贅沢な演奏会といえます。

 年齢的には加藤さんと堀米さん、戸田さんと川田さんがそれぞれ同じ年です。その差は約10年。実は私の年齢はそのちょうど真ん中にぴたっとはまります。堀米さんがエリザベートコンクールに優勝した1980年、私はまだ高校生でした。戸田さんがエリザベートで1位になったとき、私はすでに社会人でした。どちらかというと加藤さんや堀米さんの世代のほうが、私には親近感があります。

 中年おやじのたわごとはさておいて、放送では、4人がそれぞれ1曲ずつピアノ伴奏でソロの曲を演奏した後、ヴァイオリン4本だけでモーツァルトの魔笛の編曲が演奏されました。この編曲は初めて聴きました。結構技巧的なのですが、ユーモアが感じられるところもあり、面白い編曲と思いました。

 ヴァイオリンの4重奏というのはレパートリーもそれほど多くはないし、演奏される機会も少ないです。チェロ四重奏やサキソフォーン四重奏などとは違って、ヴァイオリンは高音域しか出せないからだと思います。特に音だけ聴いていると、四人の音域が近いので、誰が第一パートを弾いているかよくわからなかったりします。

 この魔笛の編曲、きっと音だけだとつまらないと感じたと思います。やはり映像の威力は偉大です。誰がどのパートをひいているかは一目瞭然ですし、皆それぞれ引き方に個性があって、見ていて楽しいです。真剣な表情になったり、ちょっとリラックスしたり、なんていうのも良くわかります。

 見逃した方、ご心配なく。3/12に再放送があります。ただしBS2なのでハイビジョンではありません。

堀米さんの最近の演奏    戸田さんのイザイ  加藤さんのバッハ大ヒット中
  

タイトルが面白い川田さんのCD
 

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

オットー・ザウターのピッコロトランペットを聴く

 トランペットはオケの花形です。R.シュトラウス、ブルックナー、マーラーなどでは、ここぞというところで格好いいパートを担当しています。コラールやファンファーレでは、たいてい和音の頂点に立っていて、いつも目立っています。でも音をはずしたときのダメージも大きいです。特に高音部の音を間違えたときなんかは、素人にだってすぐにわかってしまいます。例えばR.シュトラウスのツァラトゥストラやアルプス交響曲などはトランペットの難所だらけで、実際に演奏する奏者の方は本番ではずさないようにきっと必死に練習をしているのではないかと思います。

 しかし、トランペット奏者の方にとってもっと高音域が大変なのは、ロマン派や近代のレパートリーではなく、バロック時代の曲ではないでしょうか。多分R.シュトラウスなんかより4、5度は高い音を吹かされています。有名どころでバッハのブランデンブルグ協奏曲第2番、管弦楽組曲第3番と第4番、そしてクリスマスオラトリオ。決まるとカッコいいのですが、はずすと悲惨です。

 バッハの次に有名なのヘンデルかテレマンでしょう。特に多作で知られるテレマンにはトランペットがソロを吹く協奏曲がたくさんあります。最近、テレマンのトランペット協奏曲を集めた4枚組のCDを聴きました。廉価で知られるブリリアント・レーベルのもので、ソロは、オットー・ザウター。あまり名前が知られていないような気もしますが、素晴らしいテクニックと音色です。

 この手の曲にはピッコロトランペットが使われます。実演で観たりすると、トランペット奏者が顔を真っ赤にしながら必死の形相で演奏するような光景に良く出会います。しかしこのCDを聴くかぎりそんな風にはとても聴こえません。涼しい顔をして汗ひとつかかずに演奏しているような印象です。まあ、こういうCDは、何度も取り直して、一番いいテイクをつなげて仕上げているのでしょうから、ライブと単純に比較すべきではないとは思いますが。

 それはさておき、このザウターのトランペットの音は大変柔らかく、弦楽器の音ともよく溶け合っています。ジャケットとの写真を見るかぎり、モダン楽器を使っているようなので、そのせいなのかもしれません。トランペットの演奏経験がある方にとってはかなり無責任にとられるかもしれませんが、トランペット協奏曲なのに、手に汗にぎることなく、癒しの音楽としても好適な、不思議な魅力のあるCDだと思います。

 テレマンの協奏曲集    こんな顔の方です  達人が集まるとこんな曲も
  

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NHK教育テレビで放送された「20世紀の名演奏」(1999)

 全8回シリーズで放送されたこの番組は、日本のクラシック音楽ファンにとっては「事件」だったのではないでしょうか。次々と繰り出されるお宝映像に驚嘆し、NHKの凄さに感動しました。

 来日した名演奏家の演奏会などを収録した映像がたくさんでてくるのですが、一例を挙げると、50年代のカラヤン、フルニエ、ギレリス、コーガン、60年代のランパル、F.ディースカウ、ホッター、ミケランジェリ、ロストロポーヴィチなどなど。本当にほんの一部です。8回分あわせて約14時間分の映像ですから量的にも圧倒されます。

 これらの中で話題になるのが、やはりというか、カラヤンの映像です。最近テレビで観ている晩年のものとは打って変わって、まぎれもない壮年期のカラヤンです。腕を上から下まで大きく振り下ろして、全身全霊で、見た目なんか気にせず、がむしゃらに振っているカラヤン。それにベルリンフィルやウィーンフィルがしっかりと力強い響きで応える、まさに白熱の演奏です。

 ワーグナーのマイスタージンガーの前奏曲、ベートーヴェンの運命、ブラームスの交響曲第1番などが映し出されたのですが、絵がモノクロで音が悪くても、並みのハイビジョンの映像よりもよっぽど迫力を感じます。

 1999年に放送されたこの番組はETV40周年の企画でした。来年は50周年ですので、再放送してもらえないものでしょうか。

1957年ベルリンフィルと  1959年ウィーンフィルと これはクルーゾーの映像
    

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フォイアマンのチェロを聴く

 私が好きなこともあって、チェロ関係の記事が多くなっています。今日はフォイアマンを取り上げます。主観ですが、彼はチェロ史上最高のチェリストではないかと思っています。

 まず、抜群のテクニック、特に音程。低音域から超高音域まで完璧な音程で弾けています。高音域になるとどうしても音程かテンポのどちらかに不自由さが出てしまうのですが、彼の演奏にはそれが微塵も感じられません。楽器の性能からくる制約から解き放たれた自由な音楽表現があります。
 
 それから音色。ボウイングのテクニックも絶品です。レガートで弾くときは流麗でつややか。スタッカートで弾くときには鋭く、明瞭でそして均一。すこし古めかしいポルタメントなんかもあるのですが、これは時代的に致しかたないと思います。現代であればイマ風の弾きかたでも当然弾けていたと思います。

 音楽は颯爽としていて、スピード感があり、むしろ現代的にすら感じます。テクニック的な制約を超越しているので、難しいパッセージでもテンポを落とさず、ぐいぐいと前に進んでいきます。もたもたするところがなく、聴いていて、すがすがしい感じにがします。

 ただし、残された音源はSP録音ばかりで音の古さは否めません。この点で相当損をしている感じです。そこで、最近この手のSP録音のCDを聴くときは、PCのデジタルオーディオプロセッサーを通して、適度に残響や擬似ステレオ的なエフェクトをつけて聴いたりしています。もちろんピュアオーディオ派の方からみると全く邪道なのですが、演奏のスケールがすごく大きくなったような気がしてしまうのが、人間の感覚の不思議なところです。

 まるでヴァイオリン  アルペジョーネソナタ  ブラームス二重協奏曲
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ガーシュウィン生誕100年(1998)

 1998年はガーシュウィンにちなんだコンサートが世界中で行われました。ジャズとクラシックの両方の世界でこれだけ愛されている作曲家はほかにいないでしょう。日本でもいろいろな企画が催されて、ジャズピアニストとクラシックオーケストラの競演なんていう演奏会をいくつかテレビで観たりした記憶があります。

 もっとも有名な曲といえばやはり「ラプソディー・イン・ブルー」でしょうか。曲の長さも20分くらいで、冒頭のクラリネットのグリッサンドにはいつもゾクゾクしますし、ピアノのソロ(カデンツァ?)の部分に大胆な即興をいれてみたりといろいろな見せ場があります。最後は華々しく盛り上がって終わりますので観客のウケも抜群です。

 この曲には演奏スタイルがあります。オケにしても、いわゆるクラシックのオーケストラの版やジャズバンド版があるし、ピアノソロの部分でもカットがあるやつとかないやつとか、です。
気分によってあれこれ取り替えて聴くもの一興です。

 この曲で私が興味があるのが指揮者の弾き振りです。最初にやったのはバーンスタインでしょうか。通常ほとんど公の演奏会でピアノを弾かないような指揮者が、この曲になるとピアノをひいたりするところがあって、面白いと思います。

 バーンスタインのほかでは、プレヴィン、レヴァイン、M.T.トーマスなどのCDがあります。こういうのに出会うと、この指揮者、こんなにピアノが上手だったんだ、というような、新たな発見をしたような気分になります。最近東京フィルと共演したチョン・ミョンフンの演奏をBSで観ました。自信たっぷりの演奏で感服しました。

レニーの新しいほう   自演盤は歴史的価値あり チョン・ミョンフンのピアノ
  

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イヨラン・セルシェルの11弦ギター 2/25放映予定

 BS-hiで放映予定です。11弦ギターとは文字通り、11本の弦が張ってあるギターです。古い時代のリュートの曲の音を再現するために作られたものだそうです。通常の6弦ギターとは違った、深みのある音がしています。セルシェルはバッハのギター演奏では第一人者といえるでしょう。CDもたくさん出ています。

 11弦ギターの映像での威容は圧巻です。素人目に見ると、よくこんなに沢山あって間違えずに弾けるものだなあ、と感心してしまいます。チューニングなんかも結構面倒なのではないでしょうか。でも良く見ると、11弦を同じ頻度で使っているわけでもなさそうです。和音の一番下を支える音を弾くときに、時々、下のほうの弦が使われているようです。

 放映される曲目はバッハの組曲そのほか。BWV番号から判るとおり、チェロの無伴奏組曲が原曲です。昔、山下和仁さんのCDで全曲を聴いたことがあるのですが、この曲とギターとの相性は大変よいです。まるでギターの曲かのように錯覚してしまいそうです。チェロよりもだいぶしみじみした感じになりますが。

 無伴奏チェロ組曲のギター版を聴く時にいつも楽しみにしていることがあります。それは和音のつけ方です。もともと単旋律の曲にどうやって和音をつけるか、というのが演奏者の裁量になるのですが、これが人それぞれなのです。多分、すべてに正解があるわけではなく、何通りのものつけ方がありうると思うのですが、これが自分の感じ方とあっていたり、新たな発見があったりして興味がつきません。

セルシェル11弦の魅力 11弦によるバッハ曲集 おっと!こんなのもある
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テーマ : クラシック
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ベルリンフィルのジルヴェスターコンサートをやっと聴く

大晦日の深夜に放送されて録画しておいた、ラトルとベルリンフィルのコンサート映像を、最近ようやく観ました。録画してあることに安心してしまって、ついつい、ずるずると観ないままになっていました。
 
 今回は久々にオーケストラのみの演奏会でした。通常このコンサートは、お祭り的とまでは言わないまでも、ソリストや合唱をつけて華やかな感じにするのが普通です。アバドのころなんかは、簡易的な舞台(お立ち台?)をつくってオペラの抜粋をやったりしていました。オケだけで演奏するのは本当に久しぶりだと思います。

 曲目はロシアものオンリー。ボロディンの交響曲第2番とムソルグスキー~ラヴェル編曲の「展覧会の絵」を中心としたプログラムです。ラヴェル編曲の「展覧会の絵」をロシアものと呼ぶのは微妙なところだと思いますが。

 演奏は、まったくもって素晴らしいもので技術的には非の打ちどころのないものでした。ライブなのでちょっとしたミスなんかは当然あるのですが、かすり傷程度のものです。もともと、今回の選曲はオケの技術力や機動力を測るのにはもってこい、という感じのものでした。もし、プロオケのコンクールのようなものあったとしたら、課題曲として選ばれそうな選曲だと思います。オケの実力をまざまざと見せつけられたような感じがしました。

 こんな演奏を聴いていると、いまさらですが、ベルリンフィルは間違いなく世界を代表するオーケストラだと思います。この「世界」というところが少しひっかかるところで、すでに「ドイツを代表する」オケではなくなっている感じがします。つまり、どんな国のどんな曲でも、最小限のリハーサルで最高の演奏に仕上げてしまう、無国籍の、孤高のビルトゥオーゾオーケストラがベルリンに存在する、そんな印象をもってしまうのです。

 映像を観るたびに、メンバーは毎年確実に若返っているのがわかります。日本人を含めていろいろな国の人がオーディションで入ってきます。指揮者もカラヤン以後、イタリア人、イギリス人の指揮者が歴任し、いろんな国の客演指揮者が入れ替わり立ち替わりでやってきます。もうあと10年くらいすると、私が子供のころ聴いたベルリンフィルの面影がほとんど払拭された、スーパーオーケストラになってしまっているのでしょうか。

 別テイクらしいですが こ れも現代的なサウンド アメリカものもこの通り
  

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アーノンクールのブラームスをテレビで観た(1997)

 ブラームスの交響曲第1番の終楽章、最後の方で金管楽器と弦楽器が高らかにコラールをファンファーレのように奏でるところがあります。(スコアをお持ちの方、407小節目です。)神々しく高揚する、最大の見せ場のようのところです。ほとんどの演奏ではこの手前で急ブレーキをかけて、コラールのところだけを倍くらい遅くして、朗々と演奏して、それが終わると、またテンポを戻して速くしていきます。カラヤンでもベームでも小澤征爾でもみんなそうしています。

 でもスコアには速度変化なんか何もありません。そのままのテンポで突き進むようにかいてあるのです。いったい、いつから皆こんな風に演奏するようななったのだろう、とずっと思っていました。

 1997年にテレビで放送されたアーノンクールとベルリンフィルの演奏が、珍しく、この部分を遅くしないタイプの演奏でした。一気に終結部まで突き進んでいく勢いがあって、既存の演奏とまったく違う新鮮さに感動しました。

 これを聴いて、それまでに持っていた、この曲の自分のコレクションを全部チェックしてみました。そうると、1970年代後半に演奏された岩城宏之さんとN響の演奏会のエアチェックテープに収められていた演奏が、このアーノンクールと同じようにやっているのが見つかりました。岩城さんも若い頃から私と同じ疑問を持っていたんだということだわかって、ちょっと嬉しくなりました。

 アーノンクールの演奏はには、この部分以外にも、テンポや強弱などに、聴き手の意表をつく「仕掛け」があちこちにちりばめられていました。いわゆるスタンダードな名演奏を聴き飽きた耳には大変刺激的であり、退屈せずに面白く最後まで聴くことができました。このような名曲を、肩透かしをくらったり、苦笑いしたりしながら聴くのもたまには良いものです。

全集だと値が張りますね ドイツ正統派の代表 私はこれで育ちました
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向山佳絵子と仲間達 2/22(金)放映予定

 2/22(金)の13:00より、BS-hiで放送されます。今回はシュポーアの弦楽八重奏曲がメインのプログラムです。久しぶりにハレー・ストリング・クァルテットのメンバーが揃っているところを見ることができます。実演を聴けた方がうらやましいです。

 ちなみにBS-hiのクラシック倶楽部は6:00~と13:00~の2回放送されますが、放送内容が1週間ほどずれています。私は先日2/15の朝の放送を見ました。

 メンバーは以下の通り。漆原啓子さん、川田知子さん、篠崎史紀さん、矢部達哉さん(以上、ヴァイオリン)、川本嘉子さん、豊嶋泰嗣さん(以上、ヴィオラ)、藤森亮一さん、向山佳絵子さん(以上、チェロ)。在京オケのコンマスが3人もいたりして、すごい豪華メンバーとなっています。映像で観ると、カメラがどのメンバーのアップになっても絵になります。

 私はこれらのどなたとも直接の面識はありませんが、豊嶋さんらとは同じ世代になります。デビューの頃から彼らの演奏を聴いていて、そのうち私も社会人になり、彼らが着実にキャリアを重ねていくのと同じくして、自分も年をとってきたというような親近感があります。

 彼らの演奏はいつも緊張感に満ちていて、完成度が高いと感じます。まず、当たり前ですが、それぞれの自らパートには強い責任と自負が感じられ、手抜きなど一切ありません。一人一人が確信と自信を持って弾いています。そして、全員の音楽的な目標がしっかりと一つに定まっていて、アンサンブルとしてここまで目指そうというレベルが非常に高く感じられます。でありながら、協調性を重視するあまり無個性で安全運転的になるようなことは決してなく、各メンバーが表現力のダイナミックレンジを競い合うかのように自己主張して、濃厚な演奏になっています。

漆原啓子さんのソロ  篠崎史紀さんの室内楽 矢部達哉さんのソロ
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川田知子さんのソロ  豊嶋泰嗣さんの室内楽  川本嘉子さんのソロ
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藤森亮一さんのソロ  向山佳絵子さんの無伴奏
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ヒルデガルト・フォン・ビンゲン ブームになる(1996)

 1995年ごろからだったかも知れません。中世の作曲家、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(Hildegard von Bingen、1098~1179)ブームになりました。私もつられてCDを買いました。

 中世ドイツの女子修道院長。神学者で神秘家?、また医学者、そして作曲家。西洋音楽史上最初の女性作曲家とも言われています。彼女の生い立ちや業績についてはいろいろな記録が残っており、調べれば調べるほど興味深く感じられることが、ブームの原因のひとつかもしれません。

 音楽的にも独特の魅力があります。彼女の曲は単旋律でできていて、それが主に女声で歌われるのが特徴です。単旋律と女声という組み合わせの音楽をこれまで我々はあまり知りませんでした。そのため、曲の響きが大変新鮮に感じられ、それがブームになった一因なのではないか、と思っています。

 たとえば、バロックより前の時代というとルネサンス時代になるわけですが、この時代の音楽は多声音楽です。タリス・スコラーズや、ザ・シックスティーンなどのCDで聴くことのできるこれらの音楽は、それはそれで非常に美しいのですが、ヒルデガルトとはまた別世界です。

 一方、我々はグレゴリオ聖歌というものも知っています。これも単旋律ですが男声で歌われます。いくつかの旋法があり独特の音階が使われますのですが、これとヒルデガルトの音楽もまた違います。彼女の音楽は、ブームになるまで、ほとんど未知の音楽だったためによけいに新鮮に思えたのではないでしょうか。

 いずれにしろ、こういう音楽をたまに聴くと、ほっとした気持ちになります。癒しの音楽としては誠に好適だと思います。

オックスフォードカメラータ 神秘的な残響の録音  美しい女声の単旋律
  



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クリスティアン・リンドベルイ 驚異のトロンボーン

 トロンボーンといえば、この人です。おそらくソロのみで活動している世界唯一のトロンボーンプレーヤーでしょう。コントラバスのゲーリー・カーと同じくらい貴重な存在です。明後日、2/20(水)13:00からBS-hiで放送されます。再放送ですが、何度観ても素晴らしい演奏です。ピアノの白石光隆さんの伴奏もぴったり息が合っています。

 リンドベルイのテクニックと音楽性は私が申すまでもなく超一品です。プログラムは古典派から印象派まで幅広く、芸術性の幅広さが伺えます。超絶テクニックについてはすでに語りつくされた感がありますが、とにかくトロンボーンという楽器がこんなにも自由に音楽を表現できるものか(多分この人だけだと思いますが)、とひたすら感心してしまいます。

 私は特に音色が素晴らしいと思っています。トロンボーンというと、チャイコフスキーやブルックナーの交響曲などに出てくる、力強く剛直な音がする楽器、というイメージがあるのですが、リンドベルイはまるで違います。ユーフォニウムとホルンを足して割ったような音色とでもいいましょうか。おそらく何の前置きもなしに音だけ聴かされたら、きっとトロンボーンと気づかないのではないか、と思うほど、別次元の音がしています。

 しかし、ピアノとトロンボーンだけでリサイタルとは恐るべき体力です。ステージ衣装なんかもあえてカジュアルな感じにしていて、聴衆に対するサービス精神も忘れていません。1958年生まれですから、今年50歳になるのですね。とてもそんなには見えないパワーとオーラを感じます。

彼に献呈された作品集 古典派の協奏曲集  なんとホルン協奏曲も
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ピエール・ブーレーズ・フェスティバルが東京で開催される(1995)

 2/11の記事の続編のような内容です。今から13年前、こんな名前の音楽祭が開かれました。5月の中旬から2週間ほぼ毎日演奏会が開かれ、およそ半分の演奏会をブーレーズが指揮するというものでした。NHKはこれらの演奏会の模様を収録して、6回のシリーズとしてBSで放送しました。

 メンバーが超豪華でした。指揮者は、ブーレーズ、バレンボイム、M.T.トーマスなど。オケはロンドン交響楽団、シカゴ交響楽団、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、NHK交響楽団。ソリストに、バレンボイム、ポリーニ、クレーメル、ヴァディム・サハロフ、ピエール=ロラン・エマール、ジェシー・ノーマン、スウィングル・シンガーズ。こんなメンバーが同時に日本にいたということで、まずそれが本当に凄いと思いました。

 曲目は、ブーレーズの自作を含む、近現代の作品群でした。ドビュッシー、ラヴェル、バルトーク、シェーンベルク、ウェーベルン、ベルク、ストラヴィンスキー、ベリオ、メシアンなど。現代音楽というよりは、20世紀前半の音楽史のおさらいのようなレパートリーでした。あまり前衛的すぎると一般的な演奏会ではなくなってしまいますので、集客力の最大化を図れるのがおそらくこの辺なのかもしれないと思います。

 このハードなスケジュールをこなしたブーレーズのバイタリティと集中力には頭が本当に下がりました。録画したVTRを観ると、むしろ、最もたくさんの演奏会を担当したロンドン交響楽団の方が、連日連夜異なる曲目の演奏会こなしていたためか、やや消化不良気味になりながら、ブーレーズに必死についていこうと頑張っているような雰囲気があります。

 この中で印象に残ったのはベリオのシンフォニアとブーレーズ自作の「レポン」でした。これらの録画映像は私の貴重なコレクションとなっています。

オケは違いますがベリオ レポンと二重の影の対話 レパートリーを概観する
    

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小泉和裕さん&大阪センチュリーのブラームス

 大阪センチュリー交響楽団の定期演奏会がBSフジで放映されていて、ほぼ毎回欠かさず観ています。音質やカメラワークもなかなかで、いつも良い感じの映像に仕上がっていると思います。

 民放のクラシック音楽番組は、NHKとは違った作り手の工夫があちこちに感じられて新鮮です。この番組では、演奏の前には必ず演奏者(指揮者やソリスト)のインタビューがあって、曲へ対する熱い思いなどが語られるのもその一つ。N響演奏会などでもやってみてもいいのでは、と思います。

 ただ、民放であるがゆえ気になるのがCMの挿入。無料放送ですので仕方がないのですが、曲中に挟まるとなんとも興ざめです。ところがこの番組は、交響曲の楽章の間にCMが入るようなことがほとんどありません。おそらく、スポンサーの理解があってのことだと思いますが、これは好感が持てます。

 最近興味深く観ているのが、小泉和裕さんのブラームス。第2~4番までが放映済みで残すところは第1番のみ。ブラームスの作品は、スコアを見るとモチーフや伴奏パートがわざと複雑に各パートに振り分けられているのが判るのですが、それらが寄木細工のようにぴったりと噛み合っているような演奏が私は好きです。小泉さんの演奏は、ゴージャスでパワフルなサウンドを追求するというよりは、緻密なアンサンブルを目指していて、各楽器のフレーズのどう組み合っているかが、明瞭に分かるように聴こえてきます。ロマンティックな作品であっても、決して安易な雰囲気に流されることなく、一本しっかりと芯の通った演奏になっています。

 来週、ブラームス・ツイクルスの最後となる、交響曲第1番を取り上げた演奏会があります。今回は大阪の定期だけでなく、東京でも同一プログラムの特別演奏会が開かれます。私はどちらも行けないので、またBSフジの放映待ちです。

同一コンビでのスメタナ  最近はシュトラウスも  このオケの実力を知る
    

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クライバー遂に来日、ばらの騎士を観る(1994)

 1994年秋、ついにクライバーがウィーン国立歌劇場とともに日本にやってきました。「ばらの騎士」を振るということになっていたのですが、2年前のウィーンフィルの演奏会をキャンセルされている日本の音楽ファンにとって、「本当に振ってくれるのか」というのが最大の心配の種でした。

 それでもチケットは即日完売。確かS席が65,000円だったと思います。私も何回も電話してやっと買うことができました。同じ演出とキャストでウィーンで上演された映像が日本での上演の半年くらい前にNHK-BSで放送されましたので、十分に予習をしてから当日に望むことができました。会場に行くと、どこかで見たことがあるような若手指揮者や音楽評論家の方をロビーでちらほら見かけたりと、まさに日本の音楽界の話題をさらった一大事でした。

 演奏の素晴らしさについては改めて言うまでもありません。オットー・シェンクの舞台、ロット、オッター、ボニー、モルといった最高のキャスト、そしてオケピットからは自在に指揮棒を操るクライバーの後姿が見え隠れしていて、そして紛れもないウィーンフィルの豊麗な響きが会場を満たしていました。まさにに極上のひとときでした。

 当日、印象に残っていることがあります。ホールに入って席に着こうとすると、座席に紙が一枚おいてあります。周りを見るとすべての座席に同じものがあります。主催者側が配布したものでした。文面は正確に覚えていませんが、大体以下のような内容でした。「クライバー氏はカメラのフラッシュの光を非常に嫌っています。心無い観客からフラッシュを浴びせられることにより、クライバー氏がその後の一切の公演をキャンセルしてしまう可能性も考えられます。したがって、カーテンコールのときなどは決して客席からフラッシュを光らさないでください。」主催者側のクライバーに対する神経のつかいようが判るできごとでした。

 さて、終演後何度も舞台に呼び出されて、スタンディング・オベーションに応えるクライバーでしたが、その何回目かのときに、一瞬フラッシュが光りました。客席からのものです(私ではありません)。その後、皆がいくら頑張って拍手してもクライバーはその日の舞台に現れることは二度ありませんでした。その後の公演をキャンセルしなかったとあとで聞いてほっとしのが記憶に残っています。

 いまさらですが名演です   1979年バイエルンでの名演奏 1974年バイエルンでのライブ
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ラルフ・カーシュバウムのバッハ無伴奏チェロ組曲

 カザルスに始まり、数々の名盤がひしめくバッハの無伴奏チェロ組曲。よっぽどの特徴がないと目立ちにくい状況になっています。一方で、意外と正統的で実直な演奏に出会うことが少ないようにも思います。そこで以前から気に入っているのですが、あまり話題に上らないこのCDを取り上げます。値段も手ごろでお買い得です。

 この曲にはさまざまな演奏スタイルがあります。バッハ本人の自筆譜がなくアンナ・マグダレーナ・バッハの写譜が残っているだけ、というのも原因のひとつかも知れません。ボウイングをどうしたらよいかが結構問題で、いろんな出版社から出ている譜面を見ると、スラーのつけ方に驚くほど違いがあるのがわかります。ロマンティックに弾こうとすると、スラーで音をつないでいって、歌謡的な旋律線を前面に出すように弾くのでしょうし、舞踊的なリズム感を強調したいときには短く音を切って、スタッカートを多用するような弾き方になるでしょう。

 さて、カーシュバウム(Ralph Kirshbaum)ですが、まず彼の経歴はよく知りません。アメリカ出身?のベテランで楽器はモンタニアーナだそうです。音は少し地味めで、一聴した感じではガット弦をつかっているようにも聴こえます。残響も比較的少なめでチェロの音が比較的ダイレクトに聞こえてくるような録音です。

 演奏はオーソドックスなものです。テンポなども変に大げさに揺らしたりすることがなく、速すぎず遅すぎずです。また、歌うところはしっかりと丁寧に弾く一方で、音を短く切ってスタッカート気味に演奏する箇所が多いのが特徴なのですが、モンタニアーナのすこし鼻にかかったような美音にも助けられて、粗暴になる一歩手前で収まっているのに好感が持てます。テクニックは磐石で、第6番のプレリュードなどでもイン・テンポでどんどん行くのですが、一つ一つの音が明瞭に聞こえますし、重音も綺麗に響いています。もっと注目されてもよいCDだと思います。

この値段はお買い得   こんな顔の方です   これも聴いてみたい
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ガーディナー指揮の幻想交響曲の映像に驚いた(1993)

 イングリッシュ・バロックソロイスツとモンテヴェルディ合唱団を率いて破竹の勢いで次々とCDを繰り出していたガーディナー。バロックから古典派にレパートリーを広げ、さらにベートーヴェンやベルリオーズに手をのばすために、1990年、彼はオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークという団体を立ち上げます。

 そして遂にベルリオーズの幻想交響曲をリリースします。これはLDでも発売されたのですが、その映像が衝撃的でした。演奏場所は初演の時と同じパリの旧音楽院。恐ろしくデッドな響きです。そして横幅が非常に狭く奥行きが異様に広い、全体としてはかなり狭い舞台に、見たこともないような不思議な配置で、あふれんばかりのメンバーが乗っています。

 面白い楽器がいろいろ出てきます。途中で折れ曲がったようなコール・アングレ(イングリッシュホルン)がアップで写っていいたり、長いトランペットと短いコルネットが並んで吹いているのなんかは見ていて大変楽しいです。

 一番の聴きどころ、みどころといったらやはり第5楽章でしょうか。まず鐘の音が教会の鐘のような感じで、特に下の音が微妙に音程が混濁していて、(映像は出てこないのですが)本物の鐘っぽく、不気味さを醸し出しています。その後に出てくる、オフィクレイドとセルパン。音楽事典でしか見たことがなかったこれらの楽器が実際に演奏されている映像は大変貴重です。

 このセルパンという楽器、くねくねと曲がった蛇のような形をしていますが、メンデルスゾーンの「宗教改革」にも使われている楽器です。現代ではチューバで代用されています。

 いまなお新鮮な衝撃の映像  こちらの方がお得かも オペラ「トロイアの人々」
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シューベルトを歌うシュトゥッツマン、コントラルトの魅力

 コントラルトとはアルトのことで、女声の一番低い音域のことです。その第一人者がナタリー・シュトゥッツマン。最近ではシューベルトの歌曲のCDがいくつか出ています。

 シューベルトの歌曲はいろいろな音域で歌われています。一般的に「冬の旅」や「白鳥の歌」というとバリトンの曲だと思われていて、F.ディースカウやヘルマン・プライが有名です。しかし、「冬の旅」などは作曲者がテノールを指定していることも知らており、ヘフリガーやシュライヤー、最近ではボストリッジの名唱を聴くことができます。

 では女声ではどうでしょうか。例えば「冬の旅」を例にとりますと、ソプラノで歌ったものとしては、マーガレット・プライスやクリスティーネ・シェーファー、メゾソプラノでは、クリスタ・ルートヴィヒ、白井光子などがあります。でもコントラルトで歌ったのものはたしかシュトゥッツマンくらいだったと思います。

 シュトゥッツマンのシューベルトには独特の魅力があります。コントラルトならではの深みのある、温かくやわらかい声。声量に余裕があるためなのでしょう、力まず自然に歌っている感じがします。女声で歌う「冬の旅」はどうしても明るく開放的になりがちなのですが、コントラルトですとかなり落ち着いた雰囲気になります。最近ではインゲル・セデルグレンいつも伴奏をつとめています。派手さはありませんが、個性的で味のあるピアノです。

温かみのある冬の旅 「白鳥の歌」もなかなか フォーレの歌曲集です
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ブーレーズ、初めてウィーンフィルの指揮台に立つ(1992)

 ピエール・ブーレーズは指揮者であると同時に、20世紀の現代音楽の重要な作曲家の一人でもあります。今はもっぱら指揮活動での活躍が目立つピエール・ブーレーズですが、彼は1978年ごろから、IRCAMとアンサンブル・アンテルコンタンポラン創設のために指揮活動をほとんど行わなくなっていました。

 彼の指揮者としての実力は1970~80年代のクリーブランド管やBBC響との名演、そしてバイロイトの革新的な「指輪」などですでに広く認められていました。当時の音楽ファンの中には、もうブーレーズは指揮の分野に戻ってこないかも知れないと、残念に思っていた人も多かったと思います。

 ところが彼は1991年ごろから指揮活動を華々しく再開します。しかしその内容は意外なものでした。ドイツ・グラモフォン(DG)と契約を結び、ウィーンフィルやベルリンフィルを振るというのです。私が持っていたブーレーズのイメージは、伝統的な音楽を破壊していく前衛音楽の旗手、というものでしたから、保守本流のDGで伝統あるオケとの共演というのは、いったいどんなものになるのか想像できませんでした。

 そんな疑問へ回答になったのが一つのコンサートでした。1992年8月30日、ザルツブルグ音楽祭の最終日にブーレーズとウィーンフィル初めての演奏会が行われたのです。曲目は、ストラヴィンスキーの交響詩「うぐいすの歌」、ドビュッシーの夜想曲、ブーレーズ自作の「弦楽器のための本」、バルトークの「中国の不思議な役人」。超現代曲というわけでは決してないのですが、ウィーンフィルの演奏会のプログラムとしては十分先進的なものに感じられました。

 これよりも前にすでにDGとの録音は開始されていました。しかし、この8月30日の演奏会の様子はNHKテレビで放映されたために、CDで聴くのとは別次元の、鮮烈な印象を受けました。ブーレーズの指揮は非常にシンプルなもので、ほとんど拍子をとっているだけのように見えることもあります。しかし出てくる音は、鋭くかつ明晰でダイナミックで、ウィンナワルツをやるオケと同じとは思えない、斬新な響きがしていました。その後のブーレーズの活躍は今に続いていますが、私にとってこの演奏会の映像は、指揮者ブーレーズの復活を強く印象づけるものでした。

うーん、またしても廃盤? シカゴとのバルトーク クリーブランドとのドビュッシー
   

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通崎睦美さんのマリンバを聴く

マリンバという楽器の表現力がこんなに豊かであるとは思いませんでした。京都アカデミー室内合奏団をバックに木琴やマリンバがソロ演奏する、通崎(つうざき)睦美さんのCDです。
 
 まず、古今東西のさまざまな曲が次から次へと出てくるのに驚きました。アマリリス、金婚式、ホラ・スタッカート、日本の童謡、ロシア民謡といった選曲。その中にバッハ、モーツァルト、エネスコなんかもあります。楽しくそして不思議な魅力がある一枚です。

 テンポの速い曲では、なんといってもリズム感が素晴らしく、聴いていて本当に心地が良いです。そしてゆっくりとした民謡では、情緒に富んでいて、癒しというか、いたわりというようなやさしい感情が聴き手に伝わってきます。木琴は打楽器のなのですから、本来、スラーでつながっていく旋律線を表現するのは難しいと思うのですが、濃淡のあるトレモロを巧みに使うことにより、まるで人間が歌っているかのように聴こえてきます。

 昨年、BS-hiでCDと同じ顔合わせでの演奏会の様子が放映されました。そのときは、アジア民謡のメドレーみたいな曲もあったのですが、音色と曲の雰囲気が異様なほどマッチしていて、マリンバという楽器がまるでそれぞれの国の民族楽器なのではないかと錯覚しそうでした。

 また、特に感動したのはショパンの遺作のノクターン。ピアノの原曲を聴いても相当しみじみした感じになるのですが、通崎さんの木琴で聴くと、本来の曲想に加えて、ピアノでは感じられなかった、なんともいえない哀愁が漂ってきます。

 通崎さんは音楽家であるだけでなく、着物コレクターやデザイナーとしても知られているそうです。これからの活躍にも注目していきたいと思っています。

名曲あり民謡ありで多彩 こんなのもあるんですね  本も何冊かあります
  

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モーツァルトイヤーに聴いた、コープマンの交響曲全曲演奏(1991)

 2006年の前のモーツァルトイヤーが1991年でした。1956年(生誕200年)、1991年(没後200年)、2006年(生誕250年)ですので、次は2041年(没後250年)です。

 1991年は当然ながらモーツァルトに関する演奏会があちこちで行われ、印象に残るものもたくさんありました。プロアマ問わず、NHK民放をを問わずモーツァルトが取り上げられ、普段クラシックに縁がない人までモーツァルトに浮かれていたような感じでした。たとえばある民放では、当時流行っていた討論番組の名前をもじった「朝までモーツァルト」なんていう番組まで作られて、交響曲全曲演奏の抜粋を音楽評論家の解説つきで長時間にわたって流すなんていう企画もあったほどです。

 そんな中で強く印象に残ったのが、コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラによる交響曲全曲演奏会でした。NHKがこの演奏をハイビジョン収録したのは偉業だと思います。NHKのハイビジョン収録の最初はおそらくサヴァリッシュ&バイエルンの「指輪」全曲ではなかったかと思いますので、この映像がはじめてではないのですが、いままでの映像とは質感が格段に違った、リアルな映像に驚いた記憶があります。最近でもBSで時々再放送されていますが、ついこの間の演奏のような新鮮な感覚を味わうことができます。

 演奏も大変面白かったです。当然古楽器なのですが、弦楽器の編成などは、おそらくこれ以上は小さくできないくらい少ない人数でやっていました。したがって、ふっくらとした響きは望めませんが、その分各パートの分離がよく、すっきりとした見通しのよいサウンドになっていました。また、テンポは速めで軽快に進むのですが、sf のときには、かなり強めにアクセントをつけていました。そのアクセントは、聴きようによっては破裂音に近く、粗野な感じもするのですが、それを敢えて恐れずに大胆にやることにより、従来にはない刺激的な演奏になっていました。

 でも一番面白かったのは、なんといってもコープマンの表情です。リズムに合わせて頭を上下左右に振りながら、笑ったり、目を丸くしたり、びっくりしたような表情をつくったり、と見ていて飽きません。あまり知られていない初期の交響曲でもこのテンションをずっと落とさずにやっていました。この人の音楽に対するエネルギーの強靭さを強く感じた演奏でした。

これなんですが廃盤です 顔の表情はこんな感じ マイナー曲を聴くのも良し 
    

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まだまだ続く、東京MXテレビのカラヤン名演集

 1/12の記事の続編です。東京MXテレビというのは、関東地方の人しかみられないのでしょうか。そうだとしたら、関東以外の皆さん、すみません。 年末年始だけだと思っていたら、まだ続いているんですね。この一連の映像のいくつかは昔、カラヤンの追悼特集としてNHK-BSで放送されたのを観た記憶がありますので大変懐かしく、毎回楽しみにしています。

 さてこれらの映像は、指揮者を写すカメラの方向は舞台下手(しもて)から、つまり第一ヴァイオリンの方向からになっています。テレモンディアル社製作のものですのでカラヤンの晩年の映像なのですが、これがもっと昔の、ユニテル社製作のものになりますと、逆側、つまり上手(かみて)からのショットになります。

 生前のカラヤンは、自分の顔写真をどちらか決まった方向から撮ったものしか使用すること認めなかった、と本で読んだことがります。ですので、このカメラアングルは間違いなくカラヤン本人による指示であるはずですが、これが年代により逆になっているのは非常に興味深いことだと思います。

 それはともかく、この角度ばかりでは不便なこともあります。たとえばコンマスが誰であるかは彼らの後頭部のみから判断しなければなりません。その反面、ヴィオラやコントラバス奏者達は、指揮者と同じくらい頻繁に映し出されますので、いつも良く見えています。

 私がいつもチェックしていることの一つに、ヴィオラの一番後ろのプルトで弾いている土屋邦雄さんの姿があります。このブログの少し前の記事でコンマスの安永徹さんのことを書きましたが、日本人として最初にベルリンフィルに入団したのは土屋さんでした。1959年のから2001年まで、なんと40年以上に渡って在籍しています。カラヤンとアバドの時代をほぼすべてカバーしているのですから、本当に尊敬すべきことだと思います。

 トップ奏者は交替制ですから演奏会の日によって人は入れ替わりますが、土屋さんの位置はほぼいつも同じで、ほとんど出ずっぱりのようにも思えます。コントラバスの首席奏者のすぐ前で、どんな難曲でも黙々と(当たり前ですが)、しかも軽々と弾きこなして、きっちり仕事をしている土屋さんの雄姿には、くたびれた中堅会社員の私の気持ちを熱くしてくれる何かがあります。

  1/19 Rシュトラウス  1/26ブルックナー第9番    2/9ヴァイオリン協奏曲
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2/16ベートーヴェン英雄
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アバドとベルリンフィル、新しい時代の幕開け(1990)

 1990年は激動の年でした。東西ドイツの統一と、それに関連する記念碑的な演奏会数々。クーベリックがプラハの春で演奏した「わが祖国」。一方、チャイコフスキーコンクールでは諏訪内晶子さんが、日本人初で、しかも最年少で優勝、などなど。そんな中で、ベルリンフィルの芸術監督に就任したアバドを取り上げます。

 カラヤン亡き後、アバドに決まるまでの間、いったい誰になるのだろうという話題がクラシック音楽ファンの間で盛り上がっていました。私はきっとバレンボイムかマゼールあたりかな、と思っていました。当時、アバドはウィーン国立歌劇場の音楽監督でした。きっとオペラ好きだろうから、オペラがあまりできないベルリンフィルには行かないのではないか、と予想していました。ですから、アバドに決まったときは大変驚きましたし、また打診があったときに二つ返事で承諾した、なんてとても信じられませんでした。

 「アバド・イン・ベルリン」というドキュメンタリー映像があります。昔LDで出ていたはずですが、今はどこを探しても見当たりません。封印されてしまったのでしょうか。しかし、これは非常に興味深い映像作品です。「独裁者」から「民主的なリーダー」に変わり、楽員たちも戸惑いながらも、徐々に信頼を深めつつ、一緒に音楽を作り上げていく様子がマーラーやブラームスのリハーサル風景を交えてうまくまとめられています。

 カラヤンとの違いを如実に示すような場面もいくつか出てきます。例えばカラヤン専用だった指揮者の控え室を、客演指揮者にも開放しようと持ちかけてみたり、リハーサルの休憩中にカフェテリアで食事をとる楽員の輪の中に自ら進んで入っていって、同じテーブルで皆と談笑したりする様子が写し出されます。また、現代音楽のリームの作品のリハーサルでは皆の前で、自分の振り間違いを自ら認める発言をする、というような謙虚な一面なんかも出てきます。

 アバドに決まったのは確か1989年の暮れごろで、正式に就任したのが1990年のはずです。世界の情勢の変化と同じくして、これからクラシック音楽界の勢力図も大きく変わっていくのだな、印象づけた出来事でした。その後、ジルヴェスターコンサートにテーマがが設定されたり、ヨーロッパコンサートが始まるなど、いろいろな新機軸が打ち出されていくことになります。

 就任発表直後の演奏 正式に就任した時の演奏 同年にウィーンフィルとも
   
 

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グールドの演奏を現代によみがえらせる試み

 クラシック音楽の演奏史において、「グールド」と「バッハのゴールドベルク変奏曲」の組み合わせくらい、曲目と演奏者との関係が深く結びついて世の中に広く認識されているものはないのでは、と思います。このような例として他には「リヒターのマタイ」「バイロイトの第九」「カザルスの無伴奏」なども考えられますが、曲のイメージを根本から変えてしまうような衝撃があり、なおかつ50年以上に渡って聴く者を惹きつけているという点で、グールドのケースは稀有だと思います。

 このグールドの演奏は1955年のモノラル録音です。1981年の再録音は音質はよいのですが、だいぶ雰囲気が違います。グールドが生前に演奏会から決別してからは、スタジオ録音のみがリリースされていたわけですから、生演奏を聴いたことのある人はほんとうに極々限られています。もっとよい音で、できれば生の演奏会で聴きたいというのが世界中のファンの願望だと思います。

 それに応えるかのようなCDが出ました。1955年の音源からピアノの音を精密にサンプリングしでデータ化。これを自動ピアノに演奏させてデジタル録音したというものです。なるほど、ピアノならこういうこともできるのですね。まあ、当然こういう試みは賛否両論になります。どちらの言い分も理解できます。しかし、こういうものが出てくるということは、それだけこの1955年盤の価値を世の中が認めているということなのだと思います。

 個人的には、こういう技術は大変面白いと思っています。せっかくの技術ですので、たとえば、ホロヴィッツやコルトーなどのSP録音を蘇らせる、なんていうのも実験としては面白いのでは、と考えるのは私だけでしょうか?

 グールドの話にもどります。彼の演奏のトレードマークの一つは、あの不気味な鼻歌だと思います。彼の演奏の音源から鼻歌の音声だけを分離して取り出して、自動演奏のピアノの音に重ねるとより本物に近くなるような気がします。でも技術的には相当難しそうですね。100年後くらいには誰かがやっているかもしれませんが。

 まずこれを聴かねば    死の直前の再録音    自動ピアノで再創造
   

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オルフェウス室内管弦楽団、2度目の来日(1989)

 前の年にオーボエのホリガーと来たのが初来日だったと思います。ドイツグラモフォンからCDを出すようになって、日本でも人気が出てきたのがこの頃です。1989年の来日公演はNHKの教育テレビでも放送され、指揮者なし演奏する彼らの姿を見ることができた人も多かったのではないでしょうか。

 この時の演奏曲目は以下の通り。メンデルスゾーンの弦楽器のための協奏曲第8番、モーツァルトのクラリネット協奏曲、ブラームスのセレナード第2番、そしてアンコールにロッシーニの「絹のはしご」序曲、グリーグのホルベルグの前奏曲。その後の彼らのレパートリーの広さをミニチュア化したようなプログラムのように思えます。

 中で最も印象的だったのがメンデルスゾーン。実は、こんな曲があることを私はこのときまで知りませんでした(すっかり気に入ってしまったので、その後、この弦楽のための交響曲は別団体のCDで全曲聴きました)。精緻なアンサンブル、明確な意思が感じられるダイナミックス、自由でしなやか表情づけ、そして明るく軽快なテンポ感。このメンデルスゾーンの初期の作品の演奏にはそんなセンスが必要だと思うのですが、オルフェウスにはそれらが全部備わっているように感じられました。

 指揮者がいないと、音を合わせることを気にしすぎてテンポをあまり揺らさないようにしたり、リズムパートを強調して堅苦しい演奏になってしまうように考えがちですが、彼らはまったく逆でした。指揮者がいない分、演奏者が自由に表情をつくれるので、むしろ表現は濃厚なものになっていて、それを各自が楽しみながら演奏し、にもかかわらず不思議と20数人の音が全部ぴったりと合っている、そんな風に見えました。

 オルフェウス・プロセスなどと言われて音楽以外の分野からも注目されているようですが、やはり皆が納得するまで議論して音楽の完成度を高めていくのは、それなりに時間がかかると思います。有名になりすぎてその辺がおろそかにならないようにして、今後も活躍して欲しいと思っています。

全曲聴いてみたいです  ロッシーニもウマが合う グリーグとチャイコ弦セレ
    

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期待の歌姫、幸田さんのソロCD

 「倖田」さんではなくて「幸田」さんです、ソプラノの幸田浩子さん。調べてみると、ヴァイオリンの幸田聡子さんの妹だと。なるほど似ています。BS-hiのクラシック倶楽部でリサイタルが放映されていたの4年前のこと。モーツァルト、オッフェンバック、バーンスタインという多彩なの選曲のリサイタルでしたが、これがなかなかよかったです。
 
 オペラの世界で活躍していることもあるのでしょう、歌っている表情がすごく生き生きとしていて、この人は歌うことが本当に楽しいんだな、と感じさせられるようなリサイタルでした。圧倒的な迫力があるというタイプではないのですが、観客をひきつけようという、積極的なサービス精神が感じられ、日本人特有の恥ずかしがり屋的な要素がないところが好印象でした。そういえばウィーンフォルクスオーパーの専属歌手の経験もあるとか。なるほど、オペレッタでは歌の技量と同じかそれ以上に観客を楽しませるパフォーマンスのセンスも必要ですから、そういうところで培われた力が発揮されているのだと思いました。

  さて、今度CDが発売されるそうです。初のソロアルバムだそうで、モーツァルトのアリア集。オペレッタやミュージカルを混ぜこぜにした名曲集などではなく、いきなり直球勝負なんですね。

 少し前にはテレビの報道番組なんかにも出演していたとか。確かに美貌でトクをしている面もあるかと思いますが、この際そういうのも積極的に利用してオペラ人気の裾野を広げる役割も果たしていただきたいと思っています。まあ、中年おやじはどうしてもこういうキャラには甘めになってしまいます。

やっぱり、顔ですか    主役を歌っています  キャンディード -日本語オリジナル版
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安永徹さんとニッポン・オクテットの来日(1988)

 安永徹さんがベルリンフィルのコンマスになったのが1983年。日本人の弦楽器奏者が本当に世界に通用するんだということを、誰も文句がつけようのない形で示した象徴的なできごとでした。

 しかし海外で活躍していた日本人は安永さんだけではありませんでした。安永さんはヨーロッパ各地で活躍する日本人を集めて1985年にニッポン・オクテットという室内楽の演奏団体を結成しました。そしてヨーロッパで実績を積んだ後、1988年に満を持して来日。その実力を日本の聴衆に披露しました。当時、海外の音楽事情なんでほとんど無知だった私は、演奏の中身に感動しただけでなく、こんなにいろんな人が海外のオケで活躍しているんだと改めて感心したことを覚えています。

 メンバーは安永徹さん、名倉淑子さん(Vn)、深井碩章さん(Va)、山下泰資さん(Vc)、河原泰則(Cb)さん、鈴木豊人(Cl)さん、小山昭雄さん(Fg)、猶井正幸さん(Hrn)、小森谷泉さん(pf)。曲目はブラームスのピアノ五重奏曲とベートーヴェンの七重奏曲。名曲プログラムで真っ向勝負という選曲でした。

 この演奏、まず非常にレベルの高いアンサンブルの精度に驚きました。ブラームスなんかは各パートに分かれた音符の複雑な組み合わせが音程タイミングとも完璧に合ったときにのみ聞こえてくる、構造の美といったようなものが曲中のいたるところで感じられまし、音符の一つたりともいい加減には弾かないぞというようなこだわりと自負が、聴き手にビシビシと伝わってきました。

 また、安永さんの音は、聴いている方が頼もしくなるような強く逞しい音でした。演奏する姿は、ボウイングなんかも元から先まで神経が通っていて、徹底的に考え抜かれた末にこの弾き方しかありえない、というような、自信に満ちていて、かつ威厳さえ感じられる堂々としたものでした。そうか、ベルリンフィルの一番前に座るということは、これくらい凄くないとだめなんだな、と当時の私は妙に納得してしまったのでした。

ベルリンフィルでの勇姿  ソロでベートーヴェン  コンチェルトもあります  
 

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N響でアラン・ギルバートを聴く

 本当は演奏会に行って生で聴かないとだめなんでしょうけれど、相変わらずBS放送ばかり聴いています。ギルバートは2009年からニューヨーク・フィルの音楽監督だそうで、目下躍進中の1967年生まれ。わたしより少し若いくらいでほぼ同年代の指揮者ですので親近感が沸きます。

 さて、BSで観たのは、ベルクのヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェンの「英雄」ほか、というプログラム。それから少し前に放送された「イタリア」「田園」という演奏会も観ました。ベルクのソロを弾いたツィンマーマンの演奏はロマンティックで気合が入ったのもで聴き応えがありましが、今回はベートーヴェンを話を中心に。

 久しぶりに聴いた大編成のベートーヴェンでした。コントラバスは8本でしたので弦はフル編成です。管楽器の数は普通でしたが、近年流行の小編成のオケに比べるとずいぶん大きく感じました。これがカラヤンなんかですとコントラバス10本、管楽器は倍の数で演奏しますのでそれに比べれば小さいのですが。一方、「イタリア」「田園」のバスは6本。サントリーホールとNHKホールの違いでしょうか。

 ちょっと話はそれます。弦楽器の編成の大きさは16型とか14型などと言われますが、ライブで確認するときはコントラバスを数えた方が簡単で実用的です。第一ヴァイオリンですと後ろの方で奥に回り込んだりしているので数えにくいのです。

 ギルバート演奏の特徴との一つとして、強弱記号の p のところをしっかり音量を落として、 f とのコンラストを際立たせようとしていることが挙げられると思っています。さらに p の中にある sf (スフォルツァンド)を見逃さずにしっかりを意識して弾かせることで、大編成でありながら、決してぶよぶよせず、緊張感のあるキリッと引き締まった演奏に仕上げることに成功していると感じました。特に「英雄」ではそれが顕著だったと思います。

 ベーム、バーンスタイン、朝比奈などを聴いて育ったオールドファンの私には、たとえ歴史的に正しくないとは頭の中では理解できていても、このような大編成でベートーヴェンを聴くことにやはり懐かしく格別の魅力を感じてしまいます。そんなわけで、ついつい引き込まれて最後まで聴いてしまいました。

あまりCDないんですね  これもかなりマイナー  英雄は昔これにはまった
   

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鮫島有美子さんの日本の歌が大ヒット(1987)

 LPとCDの売り上げが逆転し、いよいよバブルへ向かってまっしぐら、という1987年。マーラーブームとオペラブームも重なって、海外の演奏家が怒涛のように押し寄せて来ました(ちなみにポピュラー界ではM.ジャクソンとマドンナが来日)。ついに東京は世界中の音楽が何でも聴けるところになった、と日本人はみな有頂天になっていたのがこの頃です。

 前の年にサントリーホールもオープンし、海外オケを迎える体制もできました。マーラーをやれば客が集まるとばかりに、有名どころが続々と来日。シノーポリ&フィルはーモニアの「復活」、インバル&フランクフルトの5番、ベルティーニ&N響の3番、ラトル&バーミンガムやシノーポリ&ワールドオケの「巨人」・・・。アバドはウィーンフィルを率いてベートーヴェンの交響曲全曲チクルス、そのほかスヴェトラーノフ&ソビエト国立響、ジョルダン&スイス・ロマンド、テイト&イギリス室内管、そして岩城&メルボルン。

 オペラも。ベルリンドイツオペラのワーグナーによる「指輪」4部作の日本初の通し上演やベルリン国立歌劇場の「マイスタージンガー」「サロメ」など。

 ソリストだって、バレンボイムは東京でベートーヴェンのソナ全曲チクルスですし、アルバンベルク四重奏団、クレーメル&アルゲリッチ、15歳のキーシンレーピン五嶋みどり、スターン、アックス、ヨー・ヨー・マ、パールマン、マリオ・ブルネロ、アファナシェフ、アラウ、ルプー、内田光子、キリ・テ・カナワ、ベルゴンツィ、F.ディースカウ、バロックはクイケン、コープマンなどなど・・・・・。

 こんな年に大ヒットしたのが鮫島有美子さんの日本の歌でした。もちろんピアノは夫のヘルムート・ドイチュさん。真っ直ぐで澄み切った声。そして日本語はこんなにすばらしかったのかと思わせるような、美しいひらがなの発音で、しっとりと歌われる鮫島さんの声を聴いた聴衆は、小学校で歌ったなじみの名曲の数々が決してシューベルトの歌曲にも劣らない高い芸術性を持っていることに気づいたのでした。

 脂ぎった高カロリーのディナーをたらふく食べた後、デザートとして何の味付けもしていない新鮮な果実を一切れ口にしたときに極上の美味しさを感じることがあります。マーラーやワーグナーの音楽を消化不良になりそうなくらいさんざん聴いた日本人の耳が、鮫島さんの歌に癒されたのは、これに似たようなものかも知れないと思っています。

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