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ベルティーニ&N響のマーラー交響曲第3番(1987)

 まだ、そんなに有名になる前にN響を客演したベルティーニが振ったマーラーの交響曲第3番は日本の音楽ファンに深い感銘を与えた名演だったと思います。1987年のことでした。

 多分NHK教育テレビで放送されたはずですが、残念ながら私の録画コレクションには残っていません。そのかわり、年末に放送された「音楽ハイライト」という番組を録画したVHSテープがあり、その中で第1楽章の一部分だけを観ることができます。

 ベルティーニの指揮は、観ていて実に明快です。バーンスタインやゲルギエフのようなカリスマ的な指揮振りとは対極的なところにある、まさに職人芸的な指揮と言える思います。

 マーラーの交響曲はテンポ変化が激しく、作曲者の指示が細かく書かれています。ブレーキをかけたり急加速したりの連続で、指揮者の意図をオケの楽員が十二分に把握して、アンサンブルを破綻させずにしっかりとついて行くのは、至難の業だと思います。特に一期一会のライブではなおさらです。

 その後にベルティーニが残したマーラーの名演の数々は改めていうまでもありませんが、1987年にN響を振ったときのベルティーニの指揮も非常に気合の入ったものでした。指揮姿から読み取れるテンポやダイナミックスの情報量がすごく多くて、オケに自分の意図を伝えようとする熱意がひしひしと感じられます。

 たとえばテンポの揺らし方がなんかもきちんと分割されて振られていて、どういう風に演奏したいのがが明瞭にわかるような指揮に見えました。8本ホルンが一つの楽器のように音の塊をつくって微妙にテンポの揺れをなぞっていくところなんがはゾクゾクするほどぴたっと決まっています。また金管が合奏するところでの、背筋がピンと伸びて、きりっと引き締まった響きや、輪郭の彫りが深く力強い低弦など、オケの方もベルティーニの情熱が乗り移ったかのような熱演になっています。実演を聴けた方がうらやましいです。

全集がこの値段なんて!晩年の都響との8番 日本での最後の演奏
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鮫島有美子さんの日本の歌が大ヒット(1987)

 LPとCDの売り上げが逆転し、いよいよバブルへ向かってまっしぐら、という1987年。マーラーブームとオペラブームも重なって、海外の演奏家が怒涛のように押し寄せて来ました(ちなみにポピュラー界ではM.ジャクソンとマドンナが来日)。ついに東京は世界中の音楽が何でも聴けるところになった、と日本人はみな有頂天になっていたのがこの頃です。

 前の年にサントリーホールもオープンし、海外オケを迎える体制もできました。マーラーをやれば客が集まるとばかりに、有名どころが続々と来日。シノーポリ&フィルはーモニアの「復活」、インバル&フランクフルトの5番、ベルティーニ&N響の3番、ラトル&バーミンガムやシノーポリ&ワールドオケの「巨人」・・・。アバドはウィーンフィルを率いてベートーヴェンの交響曲全曲チクルス、そのほかスヴェトラーノフ&ソビエト国立響、ジョルダン&スイス・ロマンド、テイト&イギリス室内管、そして岩城&メルボルン。

 オペラも。ベルリンドイツオペラのワーグナーによる「指輪」4部作の日本初の通し上演やベルリン国立歌劇場の「マイスタージンガー」「サロメ」など。

 ソリストだって、バレンボイムは東京でベートーヴェンのソナ全曲チクルスですし、アルバンベルク四重奏団、クレーメル&アルゲリッチ、15歳のキーシンレーピン五嶋みどり、スターン、アックス、ヨー・ヨー・マ、パールマン、マリオ・ブルネロ、アファナシェフ、アラウ、ルプー、内田光子、キリ・テ・カナワ、ベルゴンツィ、F.ディースカウ、バロックはクイケン、コープマンなどなど・・・・・。

 こんな年に大ヒットしたのが鮫島有美子さんの日本の歌でした。もちろんピアノは夫のヘルムート・ドイチュさん。真っ直ぐで澄み切った声。そして日本語はこんなにすばらしかったのかと思わせるような、美しいひらがなの発音で、しっとりと歌われる鮫島さんの声を聴いた聴衆は、小学校で歌ったなじみの名曲の数々が決してシューベルトの歌曲にも劣らない高い芸術性を持っていることに気づいたのでした。

 脂ぎった高カロリーのディナーをたらふく食べた後、デザートとして何の味付けもしていない新鮮な果実を一切れ口にしたときに極上の美味しさを感じることがあります。マーラーやワーグナーの音楽を消化不良になりそうなくらいさんざん聴いた日本人の耳が、鮫島さんの歌に癒されたのは、これに似たようなものかも知れないと思っています。

 お求めやすい価格で  「千の風」など新しいのも 鮫島さんといえば夕鶴
   

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子供の頃からクラシック音楽を聴き始めて30年になります。職業は普通の会社員です。今はもっぱら自宅でDVDやBS放送で音楽鑑賞しています。

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